可愛い子にはスカートを
〜オリジナルBL小説〜

著者:レティ

!警告!
この小説は18歳以上を対象とします。18歳未満の方は移動してください


「なあコーキ、キスしようぜ、キス」
「や、やだよもう……こんな人前で……あっ」
 抵抗しようとした光輝の唇を素早く奪う。
 日曜日の昼下がり、色々とやらなきゃいけない事を放り出して俺達は公園でデートを繰り広げていた。ベンチに座り、たわいもない世間話から体を弄ったりしては光輝の反応を楽しんでいる。
 どうせ人前と言っても子ども達ぐらいしか姿は無い。興味津々といった様子でこちらを見てる子もいるが、なに、これも英才教育だ。小さい頃から見てれば偏見を持たない子になるだろ。
 せっかくだし愛を教える道徳の教育から、体を隅々まで教え込む保健体育を実践してやろうかと考え込んだ時の事。
「お? 見せ付けてくれるじゃねーか、厚志」
 良く聞き覚えのある声が聞こえた。せっかくの至福の時間を邪魔され、ただでさえ悪い悪いと言われる目つきを鋭くしてしまったのを自分でも感じる。
「なんだ、勇次か。そう思うなら遠慮して見なかった事にしろよ」
 そこに立っていたのは高田勇次。別の高校へ進学した中学の頃のクラスメートだ。悪友で、腐れ縁で馬鹿ばっかりやっていた仲間だ。
 ぶっきらぼうながら親しい挨拶かわしているのが分かったのだろう、光輝は少し嫉妬しているかのような目で俺を見る。可愛い奴め。
「しかしお前にそんな趣味があったとはなぁ……」
 勇次と光輝に面識は無いはずだ。
 そして光輝は自分が同性愛者であると知られるのを極端に嫌う。
(ぶん殴って勇次の記憶を飛ばすか?)
 そんな事を少し本気で考える。
 別に俺は光輝を好きになった事を隠すつもりはないし、性別なんて気にする方じゃない。だが、光輝は気にしている。そもそも付き合い始めるためにどれだけ苦労した事か。
 せっかくの関係を壊されるのは許せん。そう思った時の事だ。
「お前、ボーイッシュな子が好きだったんだな」
 勇次は予想外の反応を示す。
 男にボーイッシュも何も無いだろう、と答えかけて気付いた。今日の光輝はやたらと可愛いファッションで来ていた。似合ってるな。愛してるぜ。そんな褒め言葉をかけて照れる姿がまた面白かった。
 そんな光輝は女の子に見えない事もない。その勘違いに便乗する事にした。
「ああ、いい子だろ?」
「くぅーっ、俺も彼女欲しいぜ! なあなあ、誰か紹介してくれよ。えーっと、その子の名前は……」
「ヒカルってんだ。まあそのうち紹介してやるからどっか行けよ。今日はいちゃつく日なんだ」
「約束だからな。覚えてろよ!」
 そういい残して割と素直に勇次は去っていく。
「何だよ、ヒカルって……?」
 状況が飲み込めていない光輝は困惑した表情で問いかけてくる。
「いいからいいから。いいアイデアが思い浮かんだからな。ちょっと俺の家に行くぞ」
「え、あ……。いつも強引なんだから」
 さっさと立ち上がり、手をつないで家へと帰る。
 帰り道の途中でキスするチャンスは三回しかなかった。残念。


「先輩の馬鹿ーーーーっ!」
「そう言うなって。本当は堂々といちゃつきたいんだろ?」
「でも、だからってさぁ……」
 ちょっと涙目になってる光輝。その姿は……可愛いの一言。
 スカートにブラウス姿。つまり女装中。ブツは妹のを勝手に拝借した。
「まさか先輩がこんなに変態だなんて思ってなかったよっ」
「おいおい、そんな事を言っていいのか?」
「うーっ、ひ、人の弱みに付け込んでっ」
 すでに女装姿は携帯のカメラで激写中。
 それをひらひら見せつつ、拗ねた光輝と腕を組みながら商店街を歩いてる。
「ひ、人前でこんな格好……」
「分からなきゃいいんだよ。ほれ」
 服の首元から手を入れ胸を撫で回す。
 周囲の目線はバカップルを見る目だ。光輝の嫌がる好奇の目ではない。
「やだ……そんな……」
「人前で、か。いつも人の目を気にしてるよな、コー……いや、ヒカルって。たまには素直に俺を感じてみろよ」
「じゃあ、人のいない所で……」
「やだ。今日は堂々といちゃつくつもりだぜ。そのためにそんな格好してもらったんだからな」
「だって、おれ……」
「せめてボクって言えよ。私やあたしじゃそれはそれで違和感あるし」
 無理に口調まで変えさせても面白くない。
「ぼ、ボクは……」
「はいよろしい。お、アイス買ってくる。半分ずつ食べるか」
「……もうっ! 話ぐらい聞いてよ!」
「ははっ、いつもの調子が出てきたじゃねーか」
 そう言って一つのアイスを交互に口にする。
 アイス一つで光輝は機嫌を直す。この辺、結構分かり易い奴だと思う。
「……あ、ほっぺにアイスついちゃってる」
「……ん、こっちか?」
「違う違う、右じゃなくて左……あ、ボクが綺麗にしてあげるよ」
「ああ頼む……って」
「へへっ、なめちゃった」
 人前だとか、そんな事を気にしてる光輝らしくない。
「……お前もやるようになったなぁ」
「お前じゃなくて、名前で呼んでよ」
「ああ、コー……」
「光輝じゃないよ。ヒカル。今のボクはヒカルなんだから」
「……しっかりその手の趣味に目覚めてやがんのな」
「背中押したの、先輩だよ?」
「ああ、俺が悪かった。悪いから……責任取るぜ」
「あはははは、先輩が困ってる顔するのって珍しいね」
「うっせぇ。ほら、そこの影に行くぞ。そこできっちり俺を体に刻み込んでやる。優しくなんてしてやんねーかんな」
 そう言って乱暴に腕を取る。
 本当は家に帰ってから存分にやろうと思っていたが、誘ってるような仕草に我慢も限界だ。光輝は自覚してんのか分からんが。
 そのまま物陰に移動すると、光輝は少しだけ嫌がるように抵抗しようとした。
 だが、それもお約束程度のじゃれあいに過ぎない。せっかく珍しい格好をしてみせてくれてるんだ、その格好を生かしたまま存分に味わいたい。服を完全に脱がしたりはせず、少しはだけさせた程度で留める。
「あっ……」
 そっと素肌を撫でると光輝は少しだけ声をあげる。肌がこれからする行為に対しての期待感から敏感になっているらしい。
「感じさせてやるのも楽しそうだが……人が通ると困るからな。さっさと済ませる事にするぜ」
「そんな、乱暴になんて……」
 息も荒くなった光輝に対して俺は

(続きは省略されました。続きを読むにはわっふるわっふると書き込んで下さい)


 おしまい……?


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